
河津の民話 「鳥精進・酒精進」 昔、川津の郷に杉桙別命(すぎほこわけのみこと)という、大変武勇に優れた神様がおられました。お顔はきついが心はとても優しい神様でした。ある日、みことがお酒に酔って野原の石によりかかり気持ちよく眠っていると、いつのまにか燃えさかってきた野火が、すっかりあたりを取り巻いてしまいました。その時でした、空が急に暗くなり、ポツリポツリと大粒の雨が降って来ました。やっとみことは気がつかれました。暗くなったのは何千何万という鳥で空がいっぱいだったからで、その鳥が、河津川に飛び込んではみことの上に飛んできて羽ばたき、雨のように水を落としたのです。危うく命が助かったみことは、鳥たちにお礼を言うと、鳥たちも、安心したようにそれぞれの山へ帰って行きました。みことは鳥たちに手を振り別れを惜しみながら考えました。「お酒が大好きで飲み出すと酔いつぶれるまで飲んでしまう。平和な村なのでつい気をゆるめすぎた。これからは、お酒を飲むのをつつしみ、村人の幸せのために心を入れかえ、頑張ろう。」 其れから後は、大好きだったお酒もつつしんで、村の平和のために力をつくしました。川津は、ますます平和な郷になったということです。
今でも河津の人たちは、神様の心を忘れないように、毎年12月18日から6日の間、お酒を飲まない、鳥を食べない、卵も食べないという「鳥精進・酒精進」を守っています。もしも、これをやぶると火の災いにあうと信じています。・・・・・・酒好きは我慢の6日間で休肝日
